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シゴトバCAMPUS VOL.0

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シゴトバTALK VOL0.

「自分の言葉を

   見つめること」

 

AKITA MICHIO / 工業デザイナー MINAMI MASAHIRO/プロダクトデザイナー

秋田 道夫   南 政宏

秋田 道夫:

1977年 愛知県立芸術大学美術学部 デザイン科卒業

1977年 トリオ株式会社(ケンウッド)入社

1982年 ソニ-株式会社 入社

1988年〜フリーランスプロダクトデザイナーに

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http://www.michioakita.jp

南 政宏:

1978年  大阪府生まれ

2003年  滋賀県立大学大学院環境科学研究科環境計画学専攻修士課程修了

2005年〜 滋賀県立大学人間文化学部生活文化学科生活デザイン専攻助手

2008年  Masahiro Minami Design 設立

2011年〜 滋賀県立大学人間文化学部生活デザイン学科助教

Masahiro Minami Design

http://masahiro-minami.com/

———————————————————————

ー自分の言葉を見つめること

去年の3月11日に大きな災害が起きました。その10年前の9月11日に大きなテロが起きました・・・。
「明日からどうしよう?」っていう連絡が自分の所に来なかったということが、とてもショックでした。
結局人が一番不安になったときに聞かれないことって、人として情けないなと思ったんですね。その時もう50歳になる前でしたけれども、やっぱり人間が一番困ったときに、相談される人間になりたいな、と思ったんです。

 

その2年後からブログを書くようになりました。
人の気持ちに届くようなものを書きたいなと。それと工業デザイナーぽいことを書いていました。

 

僕の素朴な疑問を書いていく中で様々な方々から反響をいただきました。デザインっていうことは突き詰めていくと人の気持ちの一番深い所に届くかどうか、それを理解できているかどうかが僕は重要だと思っています。よく自分のブログには「わたし」っていう言葉が出てきます。一人称で書いているのには理由があります。それは一番最初に出会う他人は自分だと思っているから。「客観的」に自分に問うことを大切にしているということです。

それをずっと繰り返してると、デザイナーである前に文章を書く人間として有名になっちゃったんです。結局「カタチ」ではなく、人の気持ちに届くかどうかが重要だったんです。

 

自分の年表を作ると、作品が世間に知られるようになったのは2003年に発表した「1本用ワインセラー」から。そのとき私は50歳でした。1953年生まれで2003年で知られるようになった・・・。2003年からいろんな作品・製品が出てくるようになり、同時に自分をみつめる、言葉をみつめることを考えて、人の形を追うことをやめたんです。 私はよく世界のデザイン雑誌を読んでいたのですが、気付けば2000年までは買っていて、2001年以降は買ってなかったんです。なぜか去年の2011年かなんかのは持ってたんですが、それは自分が載ってたからでした(笑)

自分の言葉をみつめることによって、デザインを掘り下げることができたのかなぁと思った瞬間でもありました。

ー自分にとって心地よい環境をつくる

私は日々のストレスをできるだけ減らしたいと思っているので、自宅から事務所まで自転車で5~6分の距離にしています。ある日、自転車とぶつかったことがありました。急ブレーキをかけてお母さんを避けられたものの、後からその子供が突然飛び出してきて買ったばかりの自転車が凹んでしまいました。それ以来、できるだけ事故が少ない広い道を通って仕事へ行っています。要はアクシデントが少ないように努めているのです。

 

そう、毎日のストレスを減らすことが凄く大事だと思っています。自分の体に合っていないイスに座っていると腰を痛めてしまうように。

ものを考えるときもそうです。

 

自分の環境によって自分のデザインが変わってきます。それは必ずしも「良い」ところ住むと言う意味ではなく、自分にとって「良い」とするところにいることが大事なんです。

 

あとは捨てて捨てて、Powerbook一つあれば仕事ができる環境を作ろうとしました。その理由はじっくりと仕事をすることはもちろんなのですが、人とじっくり話をする時間を持ちたいと思ったから。

 

人との約束はとても大事なことです。
仕事も遊び、遊びも仕事。だから約束事ってのは凄く重要なんです。
仕事を理由に人との約束を反故にすることは駄目です。

 

「いつでも人と会える時間を大事にしておく」
「あっぷあっぷ」というのは90%ぐらいで、
残りの10%は必ず何かの為に備える余裕を持っておくことを心がけています。

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「いつでも人と会える時間を 大事にしておく」

ーアイデアをカタチにするコツ

このあいだ講演をさせていただいたときの話をしますね。
「思いつきをデザインに変えるにはどうすればいいか!?」
そこのヒントとしては、どんどん考えて、まず最初の箱にいれておく。5日間くらい経ってもう一度見直す。その中で選ばれたものを2ヶ月間という箱に放り込んでまた2ヶ月経った後でまた見直します。

この中で重要なのは「忘れること」です。そのものを考え続けずにとにかくアイデアを出してほっぽっておく。もう一度見たときに、初めて見たかのような印象で考えることが重要だと考えています。

お陰様でいろんな仕事を平行してやっていてメリットがあるのは「忘れること」ができるということ。みなさんは普通覚えることが重要だと思うかもしれませんが、忘れることの方が私は重要だと思っています。

「的確に忘れること。これは覚えることよりも大事。」

 

自分のアイデアが単なるアイデアじゃなくて、思いつきではなく、本当に使えるものになるには、ほっぽっておくことが大事だと思う。

 

男女の話に似ているのかもしれないね(笑)
とにかくほっぽっておく。冷却期間をおく。
十分に考えれる余地を残す。

 

結局のところデザインは愛情だと思うんです。
愛情と愛着・執着は意味が違う。
愛着・執着は自分のため。
愛情は相手のことを思うこと。

 

デザインもそうで、誰がデザインしたかどうかってことじゃなくて、相手の人がどうかってことでデザインしたものって、3年後・5年後が勝負だと思っています。

 

(いつもは会社に入って3年目5年目の人に話すことなんだけど)
大事なモノがきたときにぱっと手が届くように両手をフリーにしておかないといけないと思う。だからできるだけモノは忘れた方がいいですよって言う話。
南さんのお話では、ご自身がデザインされた商品がどのように製品化されていったのかを具体的にお話くださいました。アイデアをカタチにしていく上で大切なことは「ユーザーの視点」と「製造するメーカーの視点」を持つこと。そんなフレーズがふと頭に浮かんだ製造フローをご覧ください。

 

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「結局のところデザインは愛情だと思うんです。」

—デザインの可能性

みなさんは瀬戸物って何ですか?と言われるとどういうイメージがありますか?コミュニケーションを大事にしてるんで・・・(マイクを回してオーディエンスからの意見を拾う)

 

最近の若い方は分からないかもしれまんせんが、日用使いの大量生産品焼き物のことを「瀬戸物」と呼ぶそうなんですね。中国地方より西の方では「唐津物(からつもの)」ともよぶそうです。

 

そんな瀬戸物を作っているメーカーが1970年代には500社近くありました。秋田先生のブログから拝借すると、瀬戸物メーカーはヨーロピアンデザインの模倣と量産を繰り返していた時代です。しかし90年代から中国製品の台頭によりどんどんシェアを失っていきました。そのような中で、模倣と量産の時代からセラミックジャパン(愛知県瀬戸市)はいち早く時代に逆行したんです。

—商品の背景と向き合う

冬場に布団の中を温める湯たんぽ。焼き物の街、信楽でも陶器の湯たんぽは作られているんですけれどもゴツくて大きいものが多いんです。そこをなんとかできないかなと・・・。最終的に大橋社長(セラミックジャパン)に気に入っていただいて商品化することになったのですが、製造過程で色々と課題が出てきました。今日はそんなお話をいたします。

 

そもそも湯たんぽにも歴史があって、戦前、戦後で材質やカタチが変わったりと皆さんが思い浮かべるものでも複数デザインがあるのではないでしょうか。そうそう、よくある金属製の湯たんぽには波打ったギザギザがあるんですがこれの理由って分かりますか?(マイクを回してオーディエンスからの意見を拾う)
表面積が大きい?熱効率が良くなる?違います。これは折半屋根とおなじで、強度を高めるためなんです。熱いお湯を入れて朝方に冷めたとき、減圧して缶が凹むんですね。この力に耐えるために折半構造にしてあるんです。

—メーカーの強みを活かす製品

私が考えたコンセプトというのは
●薄型であること ※陶器に比べると
●体への当たりが優しいこと
→出っぱりをなくしたかった。一般的にフタのところが出っ張っている。
このふたの出っ張りは整形状難しいので、こうせざるをえないのですが足下で肌に触れるものだからでっぱりがないほうがいい。なんとかできないかなと考えたわけです。

●焼き物だからできるデザイン(陶器だから出来るデザイン)
→ギザギザがある陶器の湯たんぽがありますが、あれは金属のイメージを真似たものなので、機能的には何も意味がないんです。

 

製造工程の第一歩目は、型を作るところから始まります。まず石膏型を作り、その中に水分の多いドロドロの粘土を流し込みます。しばらく置くと石膏が粘土の水分を吸って固くなります。その状態で粘土を流し捨て、少し乾燥してからまわりの石膏を取り出します。いわゆる「鋳込み」と呼ばれる作り方で、セラミックジャパンではこの鋳込みを使うことが多いんですね。この会社でできないなら不可能だろう、、、と他社にも言わせるほど技術力の高い会社でもあります。

 

ただそのセラミックジャパンでもってしても、フタが難題となりました。陶器同士でふたを作ると「キー!」と黒板を引っ掻いたような音が鳴ってしまうんです。売り場で鳴るとお客さんに不快感を与えてしまうだろうなと感じたので、最終的にフタだけ素材を金属にすることになりました。出っ張りも押さえるために、受ける部分だけを別なパーツとして鋳込みでつくり、それをくっつけるという高度な技術力があってこそできたフタなんです。

―アフォーダンス

製品の使い易さを確認するために私が授業をしている大学(滋賀県立大学)でサンプルを使って検証をしました。女性の学生に渡すと、手が小さく握力が弱いこともあってか、高台(こうだい)に指をひっかけることがわかりました。瀬戸物を焼く上で高台といういわば「台座」はなくてはならないものなんです。
であれば、あえて溝をデザインすることによって「ここに指をかけるんですよ」ということが示せると考えました。またカバーにもこだわりました。静電気が起こりにくい素材でより肌馴染みが良くなると・・・。

 

具体的なお話をして頂いている所で持ち時間が終了・・・。
この後二人の対談、そして懇親会へと続いていきました。

 

 

第一線で活躍する方々との出会いが自分の成長につながる。
そんなシゴトバBASEが目指すスタイルを少し感じていただけましたでしょうか。
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