1. 大阪のシェアオフィスならシゴトバBASEのホーム > 
  2. EVENT > 
  3. シゴトバCAMPUS VOL.3

終了しました

シゴトバCAMPUS VOL.3

シゴトバCAMPUS VOL.3の写真

シゴトバTALK  VOL3.

「トラフ建築設計事務所の

        つくり方」

トラフ建築設計事務所は建築設計だけではなく、プロダクトやインスタレーションなど様々な分野で活躍されています。今回はトラフの禿真哉(かむろ しんや)さんにお越しいただきました。

KAMURO SHINYA / 建築家

 

禿 真哉

2000~03年 青木淳建築計画事務所勤務

2004年〜 株式会社トラフ建築設計事務所共同主宰

2008年~ 昭和女子大学非常勤講師

 

トラフ建築設計事務所

http://www.torafu.com

 

今までの建築家の枠を超えた建築家

 

天野:「トラフ建築設計事務所の造り方」ということで、トラフはいま禿くんとスズノくんでやっているということだけど、今何人くらいいるの?

 

禿:僕ら2人含めて、全部で10人くらいですね。

 

天野:何年前からやってるの?

 

禿:2004年からやっているので、9年経ちましたね。

 

天野:禿くんは元々どこの事務所にいたの?

 

禿:建築家の青木淳さんという方のところで4年くらい働いていました。鈴野はシーラカンスK&Hで同じく4〜5年働いて、彼はその後オーストラリアに行って、そこから戻ってきた時に僕がちょうど独立したタイミングと同じだったという感じですね。

 

天野:そうなんだ。2人の建築家が一緒にやるのって難しくない?どういう役割分担があるの?

 

禿:どっちかっていうと鈴野が、譲滋さんに近くて、ディレクション的なことをやりますね。それで僕の方は、どう作るかとか、アウトプットよりに近いこととか、割と手を動かすのは僕の方がやりますね。

 

天野:じゃあ、アイデアは2人で?

 

禿:2人と担当のスタッフと3人で話してやってますね。

 

天野:インターンもすごい多いよね?外国人の方とか多かったりするよね。

 

禿:多いですね。それで、プロダクトの人とかも多くって、建築ベースの人っていうか…プロダクトの人が多いですね。

 

天野:いや俺、後から出てくると思うけど、一緒にいろいろと仕事やらせてもらって、いやートラフ仕事とるの上手いなーっていうやり方があるので、ちょっとそこは僕つっこみたいなって思ってるので。(笑)僕は本当にトラフさんは今までの建築家の枠を超えた建築家だと思っているので、そこらへんの軌跡を見ていきながら、実際にトラフさんの仕事の内容を見ていきましょう。

 

禿:わかりました(笑)

 

(ここからは、作品のスライドを見ながら)

 

 

名前に意味があると固まってしまう

 

天野:1番最初は何をしたの?

 

禿:最初の作品は、東京の目黒にあるクラスカという長期滞在者用の客室のリノベーションをしました。

クラスカが話題になっていたので、そこの一室を手掛けられるってことで、飛び込んでいきました。

 

天野:これは事務所作ってから何年目くらい?

 

禿:これがきっかけなんですよ!最初スズノが、知り合いからこの仕事をもらって、それをやろうとしていたんだけど、彼はまだ前の建築の事務所に片足をつっこんでいて、それで僕が半分手伝うような感じで。それでこの仕事の時にトラフっていう名前ができました。

 

天野:!?なんでトラフって名前なの?

 

禿:んー、サウンドですかね。あんま意味ないです。建築設計事務所っていうのは後ろに絶対に付けようとは思っていたんですけど。

 

天野:そこは固めに?

 

禿:そうですね。そこは建築からぶれない方が良いと思ったんで。でそれは全部漢字なんで、なんかカタカナ3つくらいで柔らかい響きのやつないかなって。
天野:それ俺がやってた「CIBONE」と同じだよね。「CIBONE」も意味ないんだよね。
響きで、プラダとかグッチとかいう感じで、無目的(無国籍?)にしたかったから。
それに似てるよね。サウンドっていうのは僕らも言われた。カタカナ3文字っていう。

 

禿:なんか意味があると、こう、固まっちゃうんですよね。途中で、候補としてはトラス構造のトラスとか、なんかそういうのも出てきましたけど。あんま意味ない方がいいかなって。

 

天野:そうだね。周りからお膳立てされて今がある

 

天野:これ(クラスカのリノベーション)は反響あった?

 

禿:なんか海外のメディアとかにすごい取り上げてもらって。だから、2人ですごく戦略的に10年間やってきたかっていうとそういう訳でもなくて、結構周りからお膳立てされる感じで。(笑)だからこういう場もなんか、本当はおこがましいと思ってるくらいで、周りから焚き付けられるというか、そういうことがあって今がある感じですね。

 

(ミッドタウンの芝生広場に設計したガリバーテーブルについて)

 

 

廃棄処分には抵抗がある

 

禿:(ミッドタウンでの建築の写真を見ながら)終わった後で、解体して、石巻工房という東北の復興プロジェクトでできた工房に材料として寄贈しました。
イベントの展示をよくやるんですけど、終わり方っていうのがいつも気になっていて、廃棄処分っていうのに抵抗がありまして、別の展示会では全部発砲スチロールで作って、99%再生できるように材料を使ったりしていました。まあそういう点では、いろいろ考えるところがありますね。

 

天野:で去年僕がタニジリ君(谷尻誠<建築家>)と一緒にここで作ったマウンテンジムという樹で作ったジャグジーも、石巻工房に送って、使ってもらったんだよね。

 

禿:なるほど。いい流れですよね。建築は、環境を定義するものさし

 

禿:なんとなく、ハードのテーマとしては、建築を1個建てるとその場所の環境を意識するようになる。そういうような環境を定義する“ものさし”みたいなものです。例えば、斜面があるだけで全然おもしろいんですよね。それに気付かせるきっかけみたいなもの(建築)を置いただけで。そういうようなことはすごく考えていますね。
(東京 神保町の建築専門書店、南洋堂の屋外に作った本棚について)

 

 

寸止めにして仕事を振られているような感じ

 

禿:南洋堂という建築の専門書店に、店の外で本を売れるスペースを作ってほしいと言われて、店の壁に溝があったので、そこに棚を差し込むことにしました。

 

天野:あ、元々溝があったんだ?

 

禿:そうです。これ、何が言いたいかって言うと、ただ棚をつけるって言うだけで、

周りの雰囲気が何かちょっと変わりますよね。

 

天野:(眺めながら)これ初めて見た人はびっくりするよね。

 

禿:建物の外壁って、中の人と外の人を遮るものじゃないですか。でも急にこの棚をつけた途端に、急になんか、手の平を差し伸べてるような、フレンドリーな外壁になりますよね。

天野:これって、そもそもリクエストする人がちょっと変わってるよね。そしてそれをトラフに頼むって言う所がおもしろいよね。やれそうな雰囲気もトラフにはあるしね。(こういう仕事を頼んでも)怒られない的な。

 

禿:どこまでを期待して、どういう風に(仕事を)振られているのかっていうところもありますけどね。なんか寸止めにして振られているような感じですよね。
まあだから、やっぱり(リクエストする側の仕事の)振り方が上手なんじゃないですかね。

 

天野:ただ変な話、この仕事(南洋堂からのリクエスト)ってそんなにメチャクチャ儲かるとかいう仕事じゃないでしょ?でもやっぱり素材がおもしろいっていうか、そういう所に惹かれてトラフはやるんだろうね。

 

禿:そうですね(笑)合理性の美学みたいなものには興味がある

 

天野:建築には2パターンあるけど、図面派なのか模型派なのかどっち?

 

禿:まぁそれは両方やっていますね。

 

天野:片山さんとか完全に模型派だからね。模型を途中で直しながらやっていて、それを図面に落とすみたいなやり方をやっているよね。森田さんはもう全部スケッチでバーっと描いていって、それを起こすみたいな。トラフはどんな感じ?スケッチとかは書くの?

 

禿:簡単なスケッチはあるかもしれないですね。雰囲気を絵で描くことはあまりないですね。

 

天野:そうだなー。トラフのスケッチってあんまり見たことないな。

 

禿:僕ら絵が下手くそですよね。けど下手くそだからっていう訳じゃなくて、イメージした通りの絵を描くって、相当決めつけてないと描けないですよね。それがなんかちょっと違うかなって。

 

天野:ちょっとあれなのかな?理数派っていうか。理数系?

 

禿:あ、そうですね。

 

天野:スズノくんも理数系だよね。

 

禿:そういうところはありますね。1本線をどこに決めるのかっていうのは、数学的にやっていますね。そういうなんか合理性の美学みたいなものは、興味ありますね。

 

天野:なのにそんなに理数系に見えないよね。なんかすごい感覚的な感じがするけど。

 

禿:表にはそんなに出てこないですけどね。実際はそういう感じで進めてやっています。

 

禿:僕らのプロダクトの特徴は、なんとなく自分たちで最終系をスタディできることですかね。

業者さんに頼まないとできない形とか、仕組みや思ったモノっていうのはつくってないですね。なんか作り方も想像できてないと、その先の面白がり方がわからないというか。

馴染むこと

 

禿:爆発的に売れると、それが普通になるじゃないですか。

 

天野:普及するってこと?

 

禿:そうです。普及すると、それが当然になるというか、珍しさがなくなるというか。

有る意味でそれって成功だなって思っていて、最初はびっくりだけど、10年後にはノーマルでみんなが持っているというか。その馴染む感じが、成功だなって思うところはありますね。興味のあることを、今まで通りの方法でやっているだけ

 

(様々な作品のスライドを見終わって)

 

天野:今日ずっといろんなプロダクトを見てきて、もちろんインテリアもやってきてると思うんだけど、僕も改めてトラフの作品を見てて思うのは今までの建築家の枠を超えてるね。なんとなくだけど、その、いろんなことをやってるから建築家ってこういうものじゃん!みたいな人たちからすると邪道に見えたりするんじゃないかな?そういうのはあまり意識せずに、自分の興味あることをやってる感じ?

 

禿:うん。興味のあることを、今まで通りの方法でやっているだけだと思います。

 

天野:家具作っているのと、建築やってるのと一緒?

 

禿:一緒です。やり方も一緒ですね。というかそれしかやり方わからないんですよね。こないだ、角田くん(角田陽太:無印良品の元プロダクトデザイナー)とも話していたんですけど、僕らは詳しい技法を一切知らないですからね。(1:18)
僕らが知ってるのは、図面描いて、模型作って、スタディすることだけなんですよね。自分たちの手でしかスタディできないようなものを作っている。もうその繰り返しですね。逆に何か、そのやり方で無頓着に、プロダクトをスタディしてるってのがいいんですかね。

  •  「その馴染む感じが、成功だなって

        思うところはありますね」

  • コロコロデスク/コロコロスツール
  • 港北の住宅

 

 

 

 

<編集後記>
ここにも書ききれない程のトラフの軌跡を2時間に渡り話していただきました。今回お越しいただいた禿さんと、鈴野さんの仕事ぶりがなんとなく目に浮かぶような2時間でした。仕事に対する考え方が建築やプロダクトなど領域を越えて、ある種の普遍性を感じさせる話が大勢の来場者の心に刺さったのではないでしょうか。

その他の講座・ワークショップ